たった5 Kmの永遠

1月26日は朝からいい天気だった。前日、車のガソリンが心許なくなっているのには気がついていたのだけど、翌日の分までは余裕だった。明日仕事帰りにガソリン入れればいいやと軽~く考えていた。

さて、職場から自宅までは23キロ。高城が中間地点でほとんど視界の効かない谷間を抜けて、やっとあと5キロ地点までたどり着いた。

視界は相変わらず悪いが残りは平坦な道だ。何とか帰り着けそうだとホッとしたとき、ふと目の端にガソリンメーターが。「やべ・・・ガソリン切れそう・・・。」

まあ、いつもであれば翌日までは何とかなるぐらいの残量だ。しかし、今は何が起こるか分からない状態。今夜避難するなんて事になったら、家にいられない状態になったら・・・と、色々なことが頭を巡る。

ただ、ガソリンスタンドに向かうとなれば、ここからルート変更だ。少し遠回りになる上に、交通量の多い通りに出ることになる。できれば避けたい。

悩みに悩んだあげく、結局スタンドへ向かうことにした。

直進するはずだった交差点を右折する。信号まえで2車線になるのだが、白線が全く見えない。そして白線があったであろう場所が、小高く盛り上がっている。積もった灰の上を車が行き来するうちに、車が踏まない部分に灰が積もっていったのだろう。右折車線に入り込むのが怖い。

何とか車線に入り右折。信号があるのに信用できない。対向車が薄ぼんやりとしたライトしか見えない。

右折するとそこは269号線。宮崎市と都城市をつなぐ交通量の多い道。ましてや帰宅ラッシュの時間帯である。車だけでなくバイクや脇道から合流してくる車もある。ガソリンスタンドまでが永遠に感じる。この道、こんなに距離あったっけ?

スタンドの看板が見えたときは「助かった~」と本気で思った。

スタンドでは、お兄ちゃんたちが全身灰まみれになって働いている。偉いよなあ。仕事だからって言えばそうなんだろうけど、素直に頭が下がる。

ガソリンを入れてもらいながら、窓に積もった灰を払う。これで少しは視界が良くなる。

この時初めて窓越しではない風景を見て、改めて愕然とする。もうもうと立ちこめる火山灰に、あたりは色を失いモノトーンと化している。

明日の朝になったらいったいどんな状態になっているのか・・・。

・・・にしても、これで小規模噴火とは・・・。大規模になったら、どうなっちゃうんだろ。

※ 写真は高原ICから写した霧島。高速からインターには行ってすぐの所が最高の眺め。この写真は料金所直前で撮影しているので、ちょっと雰囲気が伝わらないかなあ。今年、1月2日に撮影したものです。この冬は本当に寒くて年末に降った雪が解けないまま年を越すという、これまであまり経験のない事でした。

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